賃貸物件の退去時に掃除する範囲は？キッチンやお風呂掃除のポイントも解説

アパートやマンションなどの賃貸物件を借りると、退去する際に入居者が室内を掃除するのが一般的です。
しかし、掃除が必要とはいっても、どこまですれば良いのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、賃貸物件の退去にあたって掃除が必要な範囲のほか、キッチンやお風呂掃除のポイントについても解説します。
引っ越しを予定されている方はぜひお役立てください。

賃貸物件の退去にあたって掃除が必要になる範囲

引っ越しにあたっては何かと手間がかかりますが、ルールを守る必要があります。
ここでは、アパートやマンションなどの賃貸物件の退去時に必要な掃除の範囲について解説します。

原状回復義務

アパートなどを借りる際の賃貸借契約では、退去時に原状回復を行うことが規定されているのが一般的です。
原状回復にかかる費用は、契約時に支払った敷金で賄うのが基本で、残額は借主の手元に戻ります。
なお、退去時には原状回復義務の範囲が原因でトラブルに発展するケースが多く見られます。
国土交通省は原状回復に関するトラブルとガイドラインを示しており、賃貸物件の運営に活用されていますが、ガイドラインは指針であり法的な強制力はありません。
ガイドラインに基づいて掃除の必要範囲を判断するのは困難なため、賃貸借契約書を確認し、オーナーや不動産会社に問い合わせる必要があります。
一般的には、損傷した箇所の修繕は必要ですが、畳やクロスの変色、フローリングの色落ちなどは通常の減耗と判断され修繕を免れる傾向があります。
一方、退去時にオーナーがハウスクリーニングを発注し、後から費用を請求するよう賃貸借契約書に盛り込まれているケースもあるため、注意が必要です。

入居者責任とされる可能性がある事例

畳やクロスの変色、フローリングの色落ち、家具の設置による床やカーペットのへこみ、冷蔵庫などによる電気系統の損傷は入居者責任の範囲外とされるでしょう。
ガスコンロ置き場や換気扇の油汚れ、風呂やトイレ、洗面台の水垢とカビも原状回復義務の範囲を超えていると考えられます。
しかし、飲み物をこぼしてできたシミやカビ、結露の放置で拡大したシミやカビ、冷蔵庫下のサビ跡は入居者責任とされる可能性があります。
家具の移動による床の傷、タバコのヤニやにおい、壁につけたクギ穴やネジ穴については入居者の費用負担で原状回復が求められるでしょう。
ただし、原状回復の範囲はオーナーの考え方によって物件ごとに異なります。
敷金の返還額に影響する可能性が高いため、できるだけ隅々まで清掃しておくことが望ましいです。

トラブルの原因

オーナーと入居者の間で、通常の損耗や経年劣化に対する認識の違いがトラブルの原因となりやすいです。
また、入居時点での傷や汚れであっても、入居者が立証できない場合もあります。
退去時に揉めないよう、入居前の状態を写真で記録しておくと良いでしょう。
ガイドラインではオーナーが負担する範囲とされているハウスクリーニングなどが、賃貸借契約で入居者負担と定められている場合もあります。
事前に賃貸借契約書を確認することは、トラブル防止において重要です。

賃貸物件の退去にあたってキッチンを掃除するポイント

キッチンは、油汚れが目立ちやすい箇所の一つです。
ここでは、賃貸物件の退去時にキッチンを掃除するポイントと、ハウスクリーニング業者に依頼する際の相場価格について解説します。
ガスコンロ
油汚れがつきやすいガスコンロ周辺は、液体クレンザーをかけてブラシでこするほか、重曹などのアルカリ性洗剤を使って拭き取るのが効果的です。
拭き取る際には、マイクロファイバークロスを使用してください。
ガスコンロを使用後、少し熱いうちに掃除することで汚れが落ちやすくなります。
汚れが落ちにくい場合は、洗剤に浸したキッチンペーパーを数分間パックし、柔らかいスポンジでこすってみましょう。
換気扇
換気扇も油汚れが付きやすい箇所で、掃除方法はガスコンロと同じです。
ただし、掃除前にファンやフィルターなどの着脱可能な部品を取り外してください。
取り外した部品は、油汚れ用洗剤を混ぜたお湯につけて汚れを浮かせてから掃除すると効果的です。
細かい隙間には不要になった歯ブラシなどを利用すると作業が楽になります。
レンジフード
レンジフード内部にこびりついた汚れを取る際は、ペーパータオルを使用するのが効果的です。
ペーパータオルに油汚れ用洗剤と重曹水を染み込ませ、レンジフード内に貼り付けて放置します。
数分後、油汚れが浮いたタイミングでペーパータオルを使って拭き取ります。
流し台
流し台はステンレス用クレンザーで掃除するのが基本ですが、材質に注意が必要です。
ステンレス流し台を、目の粗いクレンザーや研磨剤入りスポンジでこすると傷がつく恐れがあります。
また、塩素系漂白剤も変色の原因になるため注意してください。
油汚れを落とす際は、市販の流し台専用洗剤か重曹を水で溶いたものを使用しましょう。

業者に依頼する際の費用相場

キッチンの掃除をハウスクリーニング専門業者に依頼する場合の相場は、3万?5万円程度です。
また、部分的に汚れが気になる場合は、レンジフードやシンク周りの掃除が各1万5,000?2万円ほどで依頼可能です。
排水管が詰まりがちな場合は、5,000?15,000円ほどで薬剤を使用して洗浄してもらえます。

賃貸物件の退去にあたってお風呂を掃除するポイント

お風呂のカビや水アカはなかなか取れないことがあります。
ここでは、賃貸物件の退去時にお風呂を掃除するポイントと、専門業者に依頼する際の相場価格について解説します。
洗い場
お風呂の洗い場にカビが見られる場合、市販のカビ落とし用洗剤を吹き付けてしばらく放置します。
数分後、ブラシなどでこすってカビを除去します。
カビを落とした後は、洗剤を水で洗い流し、乾いた布で拭くと綺麗に仕上がります。
浴槽
浴槽は材質によって使用できる洗剤が異なるため注意が必要です。
水アカやカビは浴室用洗剤で掃除し、汚れが落ちにくい場合はカビ取り剤をつけたティッシュを貼り付け、数分後にスポンジでこすってください。
排水溝
排水溝には髪の毛が詰まりやすく、入念に取り除く必要があります。
市販のパイプクリーニング用薬剤を使用すると効果的です。
鏡
鏡に付着する水垢やうろこの原因は、水に含まれるカルシウムなどの金属イオンの蒸発によるものです。
これはアルカリ性の汚れで、酸性成分を多く含む酢を使用すると汚れを溶かして綺麗にできます。
雑巾やガーゼに酢を染み込ませて鏡を拭くだけで、多くの水垢やうろこは落ちます。
汚れが落ちにくい場合は、酢をガーゼに染み込ませた上で汚れ部分に貼り付け、半日ほど放置します。
ガーゼの上にサランラップを貼ると密封されて酢の蒸発が抑えられ、効果が増します。
酢のにおいが苦手な方は、クエン酸を利用すると良いでしょう。

業者に依頼する際の費用相場

ハウスクリーニング専門業者の中には、浴室のみ対応してくれる会社もあります。
1万5,000円以上かかる可能性がありますが、プロの技術で綺麗になります。

まとめ

賃貸物件を退去する際の原状回復には明確なルールがなく、どこまで掃除すべきか悩むこともあるでしょう。
掃除の範囲についてはオーナーに確認し、できるだけ綺麗にしてから退去するよう心がけましょう。
時間がないなどの理由で、ご自身で掃除をするのが難しい場合は、業者に依頼することも一つの手です。